■ 2010-10-28
■ 雨の日はいい。静かでいい。
■ 「ことば」はおもしろいもので、尽きない興味がある。
■ 表現としての言葉で、そういう意味では、絵や音楽や写真にも共通する。
■ 一般的にいえば、表現するとは何か、ということになる。
■ 例えば、百人一首に、こんな歌がある。
しのぶれど色に出にけりわが恋は物や思ふと人の問ふまで 平兼盛
■ 作者自身の恋を詠んだのかどうかは知らないが、表現としてはうまい。
■ この歌の中で、現在では使われなくなった言葉は、・・・
色
物
■ このふたつだろうけれど、・・・
■ 例えば、顔色、かおいろ、という言葉にあるように、また、赤面する、とか、顔面蒼白というように最初は色からきている。
■ 人の心が表情として現れるが、そのひとつとして色をあげ、また、色という言葉で、・・・
■ 表情とかそぶり等を表現している。
■ この場合は、恋の歌だから、物はそれに関連したことだけれど、・・・
■ 一般的には、ものおもいにふける、というように、何かを深く考え思いめぐらす様で、恋心に限らない。
■ この、「いろ」の「ろ」については、以前に書いたことがある。
「ろ」の意味
■ 表現するとは、それを読んだとき、どう思うか、ということであり、言葉が活きているかどうかということだけれど、・・・
■ それは、読む人によっても違う。
■ 例えば、「しのぶれど」の歌に比べれば、品がないけれど、・・・
緑陰や もしやまさかという噂 遊水
■ こんな句があるとき、・・・
もしや
まさか
■ このふたつの言葉ってなんだろう、と考えてみるのも面白い。
■ 「もしや」は「もし・や」だろう。
■ 「まさか」は「まさ・か」だろう。
■ そして、「もし」、「や」、「まさ」、「か」、このよっつの言葉って何だろう、ということになる。
■ 「まさ」は正夢の「まさ」だろう。
■ 本当、ということで、「ホンマ・?」という感じで、「まさ・か」の「か」は「?」に当たる。「ホンマ・カ」というように。
■ 多少疑問に感じながら、ほんとうだろうな、という思いだ。
■ 「もし・や」の「もし」は、もし何々だったらという仮定、想定の意味で、「や」問いかけの「や」だ。
もしや・まさか
■ という言葉は現在使われているので、詳細に考えなくても、・・・
■ 分かる、ということだろう。
■ しかし、その分かるということがどの程度に分かっているのかとなると、なかなか難しいところではあるが、・・・
■ それが、まあ、句や歌を詠んだり、作ったりしてみると、分かるというか、・・・
■ 詩歌というものだ。
■ そして、・・・
■ 多くの人が言葉に込めた「こころ」があり、・・・
■ たとえ、言葉が使われなくなったとしても、・・・
本来の意味は失われたのではなく、言葉の中に宿っている。
■ その言葉の中に潜んでいる「こころ」を発見するのは面白い。
■ 昔の歌を読むおもしろさだ。